ブルースを色々勘違いしそう『ドラゴン ブルース・リー物語』

  • 2017.06.20 Tuesday
  • 20:00

JUGEMテーマ:映画

原題 Dragon: The Bluce Lee Story

製作 アメリカ(1993)

監督 ロブ・コーエン

出演 ジェイソン・スコット・リー、ローレン・ホリー、ロバート・ワグナーetc

★★★☆☆

 

香港で父親の勧めから、イップ・マンのもとで詠春拳を習い始めた少年ブルース・リー。たくましい青年へと成長したブルース(ジェイソン・スコット・リー)はある日、とあるダンスホールで悪ふざけをするイギリス人海兵たちを痛めつける。英雄のごとく自信げな顔で帰宅する。しかしそこに待っていたのは怒り、心配する様子を見せる父親であった。痛めつけた海兵の一人が警察副長官の甥であり、喧嘩ばかりするブルースの身を案じた父親は、ブルースにアメリカへ渡るように告げる。単身渡米したブルースは、新聞配達やレストランでのバイトを経て、大学に通うようになる。そこで出会ったリンダ(ローレン・ホリー)と結婚し、カンフー道場を経営して幸せな日々が続くと思っていたが…。

 

カンフースターのブルース・リーの生涯を描く伝記映画。監督は『ワイルドスピード』のロブ・コーエンで、ブルースの妻であるリンダ・リー著書の『ブルース・リー・ストーリー』と、『燃えよドラゴン』のロバート・クロース監督の著書『Bruce Lee: The Beginning』を原作にして本作を製作したらしい。そうは聞いても、本当にその2作品を基にして作ったのかどうかが疑わしいくらい、史実がかなりフィクション化されていることが気にかかる。特に前者は、1年前に大学の卒論を書くために入念に読み返しているたので、本の内容との違いが気になってしょうがなかった。

 

実は本作の存在自体はずっと前から知っていたが、今回初のブルーレイ化がされて購入するまで一度も観たことがなかった。その最大の要因として、DVDのジャケに映っているブルースを演じる俳優が、あまりにも本人に似てなさ過ぎたからだ。だからよくありがちな駄作なんだろうなと思い込んでいた。それはさておき、ブルースを演じるジェイソン・スコット・リーが全くブルースに似ていない!ちなみに彼は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で、未来のビフの手下の1人を演じている男だ。顔はもちろん、体つきにも似せる気が感じられない。確かに鍛え上げられた筋肉だが、ブルースのそれとはまた種類の異なる筋肉だ。ブルースは筋肉を肥大化させることよりも、無駄なものを削ぎ落とすことに重点を置いていたからな。そして格闘シーン、これがびっくりするくらいアクロバティックブルースってバック転とかはね起きができないから映画の中でもスタントマンを使っていたって話は有名なんだから、そこはちゃんと考えてほしかった。ブルースは渡米前の香港で詠春拳を習っていてそれが本編でもしっかり描かれているのに、渡米後からジークンドーを創始するまでの格闘シーンに全然詠春拳を使ってないからなあ。どちらかというとジャッキーのスタイルに近い。製作においてアクションの派手な画を気にしすぎたのか、ブルースらしさを感じられないものとなっている。

 

ドラマ面も前述の通り、かなり誇張が多い。俺もブルースの正しい生涯の全てを知っているわけではないのででかい口は叩けないが、リンダ夫人の著書や他の書籍に目を通していても、おおまかなな内容は一緒であれいかにそれらに脚色が加えられているかがわかる。ブルースの人生においてもっと詳しく描くべき出来事や人物がはしょられていていたり、特にブルースが武術を始めるきっかけ、大学に入る理由や腰を負傷するエピソードなどが史実とは異なる。まあ映画として2時間に物語を収め、かつ映画として面白みを増さなければならないので、仕方ないと言えば仕方ないか。なお、本作ではブルースが幼い頃から悪魔の幻影に怯え、成長と共にそれに立ち向かっていくという様子が描かれている。意味がよく分からないが、ブルースの後の悲しい運命を際立たせたかったのだろうか。そもそもそんな事実はないし、これは完全にフィクションだ。個人的にこの要素はいらんかったなあ。それに渡米後のブルースはあんなに喧嘩っ早くなかったはずなのに…。

 

ブルースが体験してきたであろう、当時のアジア人に対する差別や偏見が散りばめられて描かれているのはとても良かったと思う。ブルースがリンダとのデートで映画館に赴き、名作『ティファニーで朝食を』を鑑賞するシーンがある。劇中に典型的なステレオタイプの日本人ユニオシが登場するやいなや、そのおかしな言動に白人たちはゲラゲラ笑い始める。でもブルースはただ1人、不満そうにダンマリとスクリーンを眺めているのだ。これは今までに観たことがなくて印象的だった。中国人コミュニティからブルースに向けられた刺客の人って、『プロジェクトA』とか『プロジェクトA2』とかでジャッキーと戦ってる敵の1人の人だよね?こんなにガタイよかったんか。

 

信憑性はともあれ、単純にエンターテインメント作品として意識すればそれなりに面白いし、所々にブルースの仕草や特徴がオマージュされているのは楽しいと思う。ブルースのことをあまり知らない人が観たら、いろいろと勘違いしてしまいそうだとも言っておく。

 

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