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- 2019.10.24 Thursday
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英題 Yakuza Apocalypse: The Great War Of The Underworld
製作 日本(2015)
監督 三池崇史
出演 市原隼人、リリー・フランキー、ヤヤン・ルヒアンetc
★★★☆☆
【あらすじ】
とある海辺の街、毘沙門仲通り商店街の一角を取り仕切るのは、ヤクザの組長である神浦(リリー・フランキー)。町を支配しているわけではなく、困っている人々を温かく助けていた神浦は町民からも慕われていた。そんな神浦に憧れて極道の道を歩き出し、神浦の弟子となった影山(市原隼人)だったが、敏感肌のために刺青を入れることができず、三下から抜け出すことができないでいた。ある日、棺桶を背負った黒装束、そしてオタク風の謎の外国人2人によって神浦が狙われ、圧倒的な強さで追い詰められた神浦は首をねじ切られてしまう。偶然その場に居合わせた影山は、神浦の首を抱えて必死にその場から逃げ延びた。なんと首だけとなった神浦はまだ生きており、「わが血を受け継いで、ヤクザヴァンパイアの道をゆけ」と漏らすと、突然影山の首に噛み付いた…。
日本を代表する監督の1人である三池崇史によるファンタジー・アクション映画。架空の町を舞台に、ヴァンパイア・ウィルスを持ったヤクザに噛まれるとカタギの人間でもヤクザと化してしまうという、なんとも単純明快でバカらしく、独創的な世界観で観る者を魅了する不思議な作品だ『ROOKIES』などの市原隼人を主演に迎え、豪華俳優陣による本格的なアクションが展開される。
ヤクザ・ヴァンパイアという概念は特に深堀りされるわけでもなく、詳細は華麗にスルーされて描かれる。他にも唐突に河童やヴァンパイア・ハンターが登場したり、どういうわけかヤクザよりもカタギの血の方が美味しいらしかったり、これといった理由も無く頭の中で脳みそが溶け始めたりと、最初から最後まで「ええ!??」のやりたい放題。最後の最後は文字通り開いた口が閉じないほどのぶっ飛んだ幕切れだ。三池監督の作品をすべて観ているわけではないが、この荒唐無稽さこそが彼のセンスであり、それがすこぶる良い形で組み立てられているのが本作なのだろうと素人目でも分かる。日本の第一線でこのような大暴れムービーを撮ることができる人物も稀であると思うので、そういう意味では本作はかなり貴重なのかもしれない。
本作は格闘アクションシーンに抜かりがない。その威力、スピード、まるでアニメのように突き抜ける迫力が非常に巧みで、その見応えは邦画の中でもトップクラスに君臨する。『マンオブスティール』の如く、打撃が入る度に画面が揺れる演出は臨場感が抜群。アクション映画ファンには嬉しいことに、日本でも話題となったインドネシアの『ザ・レイド』から、マッドドッグことヤヤン・ルヒアンが、そのまま「狂犬」の役名で起用されている。俺も事実、ヤヤンが出ていることが本作を観る大きなきっかけとなっているくらいだ。その期待が杞憂に終わることもなく、ヤヤンはチェックのダサいオタク姿からは考えられない『ザ・レイド』印の体術で観る者を圧倒する。また、謎の着ぐるみ(?)KAERUくんの中の人は、谷垣健治さんのもとでスタントマンを務めた経験を持つ三元雅芸という人で、着ぐるみごしの格闘アクションはガチャピンも顔負け。スタッフのアクションに対する本気度が伝わる素晴らしいキャスティングだ。リリー・フランキー以上に芸達者な演技を見せたのが膳場壮介を演じた高島礼子で、普段とあまりにもギャップがありすぎてマジで最後まで気付かなかった。
最近の邦画としては珍しく、本作は原作となる作品がない完全なるオリジナルストーリーである。だから原作と比べてあれやこれやと文句を言うという必要性もない。理屈など並べず、次々と映し出される三池ワールドを黙って楽しむのが本作の正しい見方なのではないだろうか。
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